大人のADHDについて
ADHDとは、Attention deficit/hyperactivity disorderの略で、日本語では注意欠如・多動症と呼ばれる病気で、「不注意」「多動性」「衝動性」といった症状があります。
「不注意」とは集中力が続かない・気が散りやすい・忘れっぽいなど、「多動性」とはじっとしていることが苦手で、落ち着きがないなど、「衝動性」とは思いついた行動を、行ってもよいか考える前に実行してしまうといった状態を指します。こうした行動は多かれ少なかれ誰にでも見られますが、症状によって幼少時に日常活動(学習・家庭生活・友人関係など)に問題があり、それが持続している場合には大人のADHDと診断されます。
ADHDは、不注意優勢型、多動・衝動性優勢型、混合型があると言われていますが、不注意優勢型は他のタイプに比べて問題が目立ちにくく、見過ごされてしまうこともあります。その結果、成長して社会に出てから壁にぶち当たってしまうことがよくあります。
以下に日常生活でよく見られる症状を紹介します。
多動性による症状
- 仕事中落ち着かず、貧乏ゆすりなどをしてしまう
- 別のことに夢中になって、家事を忘れてしまう
- 話し始めると止まらず、自分のことばかりしゃべってしまう
衝動性による症状
- 仕事中落ち着かず、貧乏ゆすりなどをしてしまう
- 別のことに夢中になって、家事を忘れてしまう
- 話し始めると止まらず、自分のことばかりしゃべってしまう
不注意による症状
- ケアレスミスが多かったり、仕事を順序立てて行うことができない。忘れ物が多い
- 片づけられなかったり、家事を能率よくこなせない。なくしものが多い
- 約束を忘れたり、時間に間に合わなかったりする。話を集中して聞けない
診断と治療について
ADHDの診断は問診により、詳しい病歴を伺い、ADHDと間違えられやすい病気を除外して行われます。
このため、初診時には子供の頃の情報をご両親などからできるだけ多く集めて頂けると助かります。
インターネット上のADHDチェックリストで症状をチェックして持参していただくのも大変有用です。
ADHDと診断がついたら、まずは、話し合って治療目標を立てます。治療の目標は、症状を完全になくすことではなく、程度や頻度を改善することでご本人が生き生きとした日常生活を送っていただくことです。このために、具体的な目標を立てて、対策を考えていきます。症状が強い場合には、お薬を併用することも有効です。当院では、ストラテラ、コンサータという2種類のお薬を処方しています。ストラテラは24時間効果が、コンサータは12時間効果が持続する薬剤です。副作用として、吐き気、頭痛などがあります。
効果が出てくるのはコンサータの方が早いと言われています。
うつ病と間違えやすい?
ADHDの症状の中で、「不注意」はうつ病など他の疾患でもよく見られ、間違えられやすいところです。 「うつ病による不注意」と「ADHDの不注意」の違いは、それが以前から(幼少時から)あったものなのか、最近目立つようになってきたのか、という点です。また、ADHDの方はうつ病や躁うつ病、不安障害を同時に発症していることも多く、その場合は、どちらかを優先して治療を行う方がよい場合もあります。